Monday, August 25, 2025

環境 白い泡の行方 ― 発泡スチロールリサイクル率五割突破の記録 1998年

環境 白い泡の行方 ― 発泡スチロールリサイクル率五割突破の記録 1998年

1990年代末、日本は最終処分場の逼迫と循環型社会への転換を迫られていた。大量消費を支えた容器包装ごみ、とりわけ軽くかさばる発泡スチロールは、その典型的な難処理物であった。ところが1998年、リサイクル率が51.5%に達したと報告され、社会に驚きを与えた。これは単なる数字以上の意味を持ち、廃棄物行政の過渡期における象徴的な成果でもあった。

背景には1995年の容器包装リサイクル法制定、1997年の本格施行がある。企業には回収義務が課され、自治体も分別収集を進めた。協会が設置した拠点網は1年で九か所増え、現場には減容や溶融の装置が導入された。こうした流れが輸送効率を高め、再資源化の道を開いた。

技術の面では、溶かして棒状に固めるインゴット方式が急伸し、再利用の主役となった。粉砕やペレット化では異物混入が課題であったが、インゴットは品質の安定性が高かった。また高カロリー燃料としての性質を生かし、サーマルリサイクルも正式に評価されるようになった。これにより、熱回収を含めた多様な手法の組み合わせが現実的な選択肢となったのである。

1998年の「五割超」は、制度、技術、企業の自主努力が重なり合って初めて実現した。土木資材や緩衝材など新たな用途も模索され、2000年に向けてさらなる数値目標が掲げられた。白い泡のように軽んじられがちな発泡スチロールは、こうして循環の輪に組み込まれ、時代の転換を告げる指標となった。

No comments:

Post a Comment