**夜の華と浄化のはざまで―2000年代歌舞伎町の女性たち**
2000年代初頭の歌舞伎町は、浄化作戦前後で大きく姿を変えた時代だった。2003年4月、警視庁が石原慎太郎都知事の肝いりで始めた一斉摘発は、韓国系や中国系の風俗店、デートクラブ、違法客引きを一掃し、街の顔ぶれを塗り替えた。しかし治安が完全に改善されたわけではなく、黒人による客引きの増加や地下化した違法営業といった新たなリスクが現れ、この中で働く女性たちは、規制強化による職場の閉店や移転、顧客層の変化に翻弄されることとなった。
1990年代後半から2000年代前半は、バブル崩壊後の不況と非正規雇用の拡大が、若い女性を夜職へと誘った時期でもある。地方から上京した女性や、学費や生活費を補うために水商売に就く学生も多く、中にはホストに入れ込み、多額の借金を抱える者もいた。自己顕示欲や短期間での高収入を動機とする女性も少なくなく、派手な消費や交際がメディアで"夜の華"として脚光を浴びる一方、その裏では借金や人間関係のトラブルに追い込まれる例が後を絶たなかった。
さらに、スカウトの世界にもカリスマ的な女性が現れた。彼女たちは同じ女性だからこそ築ける信頼を武器に、新人や後輩を囲い込み、心理的な壁を低くして巧みに心を開かせた。こうした女性スカウトの存在は、風俗業界の拡大と人材獲得競争の一環として注目されたが、その背景には過酷な競争と、街が抱える闇があった。
スカウトとは、夜の街や繁華街で女性や男性に声をかけ、風俗店やキャバクラ、ホストクラブなどに斡旋する者を指す。報酬は紹介料や入店後の売上に応じたバックマージンで得る場合が多く、合法的に活動する者もいる一方で、違法な形態や悪質な手口も少なくなく、しばしばトラブルや搾取の温床となる。
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