Sunday, October 26, 2025

記憶と持続―個体に内在する過去の時間―1900-2025

記憶と持続―個体に内在する過去の時間―1900-2025
ベルクソンは、記憶を「習慣記憶」と「純粋記憶」に分けて論じた。前者は身体に染み込んだ行動パターン、後者は過去の出来事がそのまま意識に立ち現れる非物質的記憶である。特に純粋記憶は、彼の時間論「持続(デュレ)」と深く関係している。持続とは、過去が現在に連続しながら質的に重なっていく生きた時間であり、単なる連続的な点ではない。人間の意識はこの持続の流れの中で形成され、記憶は過去を保存するだけでなく、現在の選択や行動を方向づける源でもある。したがって、ベルクソンにとって記憶は創造性と自由の根幹をなすものであり、時間に生きるとは過去と現在を織り合わせながら未来へ向かう生命の営みそのものなのだ。

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