静止された裸像——額縁の向こうに漂う身体の系譜(1930年代〜1970年代)
1930年代のロンドン・ウィンドミル・シアターでは、第二次世界大戦下に「動かない裸体」を芸術として見せるタブロー・ヴィヴァンが生まれた。動けば猥褻、静止すれば芸術という検閲の抜け道を利用したこの形式が、のちに「額縁ショー」と呼ばれる表現の原型となる。映画『ヘンダーソン夫人の贈り物』はその実話を描き、静止する裸体が時代の闇を照らした姿を再現した。1970年代、日本では劇団東京ホリーズがこの手法を再解釈し、舞台に額縁を設けて観客の視線を制御、ストリップを芸術的表現へと昇華させた。唐十郎や寺山修司の実験演劇と共鳴し、杉本エマらが「脱がないストリップ」を試みるなど、性と芸術の境界を探る運動が広がった。やがて1980年代の風俗多様化と規制の波の中で消えたが、その精神は現代の舞台
表現に脈打ち続けている。
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