疾走する微笑 ― 真理明美と六〇年代後半の女性像（一九六〇〜一九七〇年代）

疾走する微笑 ― 真理明美と六〇年代後半の女性像（一九六〇〜一九七〇年代）

真理明美（一九四七年生まれ）は、一九六〇年代後半から七〇年代前半にかけてのテレビと映画の転換期に登場した。戦後日本が高度経済成長の絶頂を迎え、女性が社会進出を果たしつつあった時代に、彼女は"明るく行動する女性"の象徴として脚光を浴びた。代表作『プレイガール』（一九六九〜七六）では、職業を持ち、自立して生きる女性たちを描き、男社会に立ち向かう軽快な演技で人気を博した。従来の映画での"受け身の女性像"を破り、コミカルでありながら芯の強いキャラクターを確立した点に、時代の風が吹き込んでいる。映画『温泉みみず芸者』（一九七一）や"女番長シリーズ"では、東映特有の明るいエロスと行動力を体現し、梶芽衣子や杉本美樹らと並び、新時代のヒロイン像を築いた。六〇年代末の学
生運動やフェミニズムの萌芽が社会を揺るがす中、真理の笑顔と身体表現は、自由と自立を求める女性たちの象徴だった。彼女は"庶民的明朗さ"と"個の自由"を兼ね備え、戦後女性の進化を軽やかに体現した存在として、今なお記憶に残る。