Sunday, October 19, 2025

太陽を抱いた世代―1950〜1970年代、石原慎太郎が映した戦後の野心と矛盾(1950〜1970年代)

太陽を抱いた世代―1950〜1970年代、石原慎太郎が映した戦後の野心と矛盾(1950〜1970年代)

石原慎太郎は、戦後日本の精神的転換期を象徴する作家であり政治家であった。1956年、『太陽の季節』で芥川賞を受賞し、「太陽族」と呼ばれる戦後第一世代の象徴として台頭。敗戦の傷跡が残る社会で、若者の肉体と衝動を肯定する姿を描き、戦後モラルに挑戦した。1960年代には兄・裕次郎との連携で映画界でも影響力を持ち、文学・芸能・思想の交差点に立つ存在となる。1970年代に入ると学生運動の終焉とともに、彼の関心は政治と社会構想へ移行し、国家や都市への積極的な発言を通して「行動する知性」を体現した。後年、東京都知事として環境政策や都市改革を進め、戦後日本の成長と責任を自らの政治思想で貫いた。石原の軌跡は、戦後日本が抱いた野心と矛盾、理想と現実のせめぎ合いを映す鏡である。

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