お雇い外国人 二つの助言、二つの帝国――ロッシュとパークスが分けた幕末日本の進路(幕末 一八六〇年代後半)
幕末の日本は、国内の政争と同時に、英仏を中心とする列強の勢力争いの中に組み込まれていた。フランス公使ロッシュは、日本を安定した統一国家として存続させることを重視し、徳川慶喜を軸に幕府を近代国家へ転換させる構想を支援した。六局制内閣や官僚制、財政改革、産業育成などの慶応改革は、フランス型中央集権国家をモデルとした包括的な制度設計であり、内政を強化することで対外的自立を図ろうとする試みだった。一方、英国公使パークスは、安定した体制よりも通商と外交上の主導権を優先し、幕府にも反幕勢力にも距離を保ちながら、権力再編の流れを利用する外交を展開した。両者の違いは個人の資質ではなく、帝国戦略の差に由来する。結果として慶応改革は大政奉還により実現せず、パークスは新政府
との関係構築に成功する。しかし、日本が制度として近代国家を構想する最初の具体的設計図を示したのはロッシュであり、幕末維新は国内革命であると同時に、列強の国家観が交差する国際政治の再編過程でもあったことが、この対比から浮かび上がる。
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