スノーデン事件をめぐる真逆の評価 ― 2013年からの余波

スノーデン事件をめぐる真逆の評価 ― 2013年からの余波

2013年アメリカ国家安全保障局（NSA）の契約社員だったエドワード・スノーデンは極秘監視プログラム「PRISM」などを暴露し政府がグーグルやフェイスブックといった大手テック企業のデータにアクセスして国内外の通信を収集していたことを明らかにした。これは9.11以降の「対テロ戦争」下で拡大した監視体制を白日の下に晒すものであり冷戦後の安全保障政策の過剰さを象徴した。政府や諜報機関は「国家の安全を危険にさらした」と強く反発しスノーデンを「詐欺師」や「クレムリンに操られた駒」と呼び非難した。香港を経てロシアに亡命した経緯も冷戦の残像を呼び起こした。他方シリコンバレーでは真逆の評価が広がりNSAによる自社システムへの侵入に憤る企業人や市民が彼を「内部告発者」「反体制の英雄」として称え�
�。ゲーム会社Zynga創業者は「恩赦して紙吹雪のパレードで迎えるべき」とまで発言しその姿勢は自由と透明性を尊ぶテック文化を象徴していた。この乖離はワシントンとシリコンバレーの深い断層を映し出し国家安全保障と個人の自由政府権限と企業責任をめぐる21世紀的な対立を浮き彫りにした。事件は国内外で監視国家の是非を問う議論を呼び起こし欧州のデータ保護規制やプライバシー法制強化の流れを後押しした。