廃棄物発電とRDF利用からバイオマス発電・SRFへの展開(1998年6月)
RDF(ごみ固形燃料)を利用した廃棄物発電は、1990年代の循環型社会の先駆けとして注目を集めたが、その後の技術発展や制度整備の中で「バイオマス発電」や「SRF(固形再生燃料)」へと発展的に引き継がれていった。
RDFは都市ごみや廃プラスチックを原料としたが、燃焼時の塩素成分による腐食やダイオキシン発生の懸念が続き、維持管理コストも課題となった。この経験から、木質系バイオマスや食品残渣など、より純度の高い有機資源を活用する「バイオマス発電」へシフトが進んだ。特に2002年の循環型社会形成推進基本法の施行や、バイオマス・ニッポン総合戦略(2002年)が後押しとなり、農林業副産物や家畜排せつ物を利用した発電が全国で展開されるようになった。
一方、RDFの後継として登場したのがSRF(Solid Recovered Fuel、固形再生燃料)である。SRFは製造過程でプラスチックや紙くずを厳選し、欧州規格(CEN規格)に基づく発熱量や成分基準を満たす点が特徴で、セメント工場やボイラー燃料として利用が拡大した。これにより、廃棄物を「燃えるごみ」ではなく「資源化燃料」として捉える考え方が制度的に定着していった。
技術的にも、流動床炉やガス化溶融炉の採用、排ガス処理技術の高度化、熱回収システムの効率化が進み、廃棄物発電は環境負荷低減とエネルギー利用の両立を目指す方向へと洗練されていった。こうした流れは、のちのFIT制度(固定価格買取制度)による再生可能エネルギー普及とも結びつき、バイオマスや廃棄物エネルギーが再生可能エネルギーの一角を担う基盤を築いた。
つまり、東北で計画されたRDF発電は単独では課題も多かったが、その経験がバイオマス発電やSRF利用へとつながり、日本の「ごみからエネルギー」政策の重要な起点となったのである。
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