Tuesday, March 4, 2025

埋立地の静かなる危機 ― 市町村最終処分場の環境対策不足 - 1998年3月

埋立地の静かなる危機 ― 市町村最終処分場の環境対策不足 - 1998年3月

全国の市町村が運営する一般廃棄物の最終処分場において、環境対策が不十分であることが厚生省の調査で明らかになった。特に地下水汚染防止のための排水処理設備が未設置の施設が全国で538カ所(全体の28%)存在し、一部では違法な設置や規制違反が確認されている。

本来、最終処分場では埋立地の浸出水が地下水を汚染しないよう、排水処理設備や遮水シートが設置されるべきである。しかし、多くの施設ではこれらの対策が講じられておらず、地下水の汚染リスクが高まっている。また、1977年の法改正以降、新設の最終処分場には排水処理設備の設置が義務付けられたにもかかわらず、今回の調査では80カ所が違法に建設されたことが判明。さらに、60カ所以上の施設では都道府県への届出がなく、適正な管理がなされていなかった。

特に問題視されているのは、焼却灰の不適切な処理である。多くの施設では、ダイオキシン類を含む可能性のある焼却灰を十分な処理を施さずに埋め立てており、その影響で地下水汚染の懸念が強まっている。さらに、一部の処分場では遮水シートが劣化し、浸出水の流出が確認されており、汚染拡大の可能性が指摘されている。

厚生省はこの調査結果を受け、自治体に対し適正な廃棄物管理を求めるとともに、既存の最終処分場の環境対策強化を促す方針を打ち出した。特に、老朽化した処分場に対しては新たに遮水シートの設置や排水処理設備の導入を義務付ける方向で検討が進められている。

今後、各自治体が適切な対応を取らなければ、最終処分場が環境汚染の温床となり、地下水汚染や土壌汚染といった深刻な問題に発展する可能性がある。処分場の環境対策は、持続可能な廃棄物管理の観点からも急務となっている。

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