Thursday, April 10, 2025

雨と飢えのあいだで 1995年から2025年の北朝鮮食糧危機小史

雨と飢えのあいだで 1995年から2025年の北朝鮮食糧危機小史

北朝鮮の食糧事情は、過去30年にわたって慢性的な危機の中にある。特に1995年の夏、記録的な集中豪雨が全国を襲い、農地の約15%が冠水。すでに疲弊していた農業生産は壊滅的な打撃を受け、数百万人規模の飢餓が発生した。これは「苦難の行軍」と呼ばれる大飢饉の幕開けとなり、国際社会の関心を集めた。

この惨状を受けて、同年より世界食糧計画(WFP)が支援を開始し、2023年までに6億3500万ドル相当の食糧が提供された。しかし、食糧供給の改善は一時的なものであり、気候変動や構造的な農業の弱さ、政治的な孤立がその後も状況の改善を阻んでいる。

2024年にも洪水や害虫被害が報告され、タンパク質の不足が特に深刻化。金正恩総書記は食糧問題を「政治的課題」と明言し、養殖事業などで対処を図るも、その効果は限定的である。ロシアからの穀物支援もあるが、根本的な打開には至っていない。

飢えは今も、静かに国民の生活をむしばみ続けている。

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