Friday, August 8, 2025

物語を紡ぐ歌旅人―さだまさしの世界 1970年代~現代

物語を紡ぐ歌旅人―さだまさしの世界 1970年代~現代

さだまさしは1952年、長崎市生まれ。1973年にフォークデュオ「グレープ」としてデビューし、「精霊流し」「無縁坂」で注目を集めた。解散後の1976年からソロ活動を開始し、「雨やどり」「関白宣言」「道化師のソネット」「秋桜」などを発表。「関白宣言」は夫から妻への独特な誓いをユーモラスに描き、男女観と人情味を交えた名曲として大きな反響を呼んだ。「精霊流し」は故郷の行事を背景に郷愁と別れを歌い、「秋桜」は母から嫁ぐ娘への愛情を繊細に描いた作品として多くの歌手に歌い継がれる。「道化師のソネット」もまた人間の哀しみと優しさを同時に描く詩情豊かな一曲である。

同世代の井上陽水は都会的で文学的、吉田拓郎は自由でメッセージ性が強く、中島みゆきは深い人間洞察、松山千春は力強い声と北海道的スケール感が特徴。その中で、さだは物語性と情景描写を基盤に独自の世界を築いた。コンサートでは長い語りと音楽を融合させ、観客を笑わせ泣かせる。1980年代以降は『解夏』『眉山』『風に立つライオン』など小説・エッセイも手掛け、映画化されるなど作家としても成功。平和への思いも強く、チャリティや平和コンサートを続け、半世紀以上、人々の心に物語を届ける旅を続けている。

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