灯の消えぬ瞬間-過去に縫いとめられた決定論の影(1890年代)ベルクソン「時間と自由」
ベルクソンは決定論が人間の行為を因果の鎖として説明する姿勢そのものが自由の本質を取り逃していると指摘した。決定論が扱う行為は空間化され過去に固定された結果にすぎず行為が生まれる瞬間の厚みを反映しない。実際の行為は記憶や感情が現在へ浸透し意識が連続的に揺らぎながら流れる持続の内部で生成される。そこでは行為は原因の延長ではなく意識全体が一点に凝縮し新たに開く創造的な飛躍として現れる。後から説明を加えると因果の線が引かれ初めから決まっていたかのように見えるがそれは後知恵の再構成であり自由の本質には触れていない。現代神経科学でも意思決定は情動記憶期待が重層的に作用し閾値を超えた瞬間に非線形の跳躍として生じると理解されベルクソンの洞察と響き合う。自由とは因果の図
式では捉えられず生成する現在の持続の内部に宿るものである。
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