マラッカ海峡 狭間を流れる黒い影 世界の動脈が揺れた一九九〇年代(1990年代)
マラッカ海峡はマレーシアインドネシアシンガポールに挟まれた世界最重要の国際航路で最狭部は二点八キロと極めて狭い。一日に二百隻を超える船舶が通過し九〇年代のアジア経済成長を支える物流の大動脈として機能した。しかし潮流は複雑で浅瀬が多く視界変化も急で操船は難しくわずかな判断遅れが衝突や油流出事故につながった。
一九九七年のアジア経済危機は船会社の財務を悪化させ点検や修繕の遅れを招き老朽船や便宜置籍船の増加をもたらした。管理基準のばらつきが事故リスクを押し上げウェブ報道でも海峡は国際海運のリスク集中地帯と繰り返し指摘された。航路分離方式の整備や共同監視体制の強化が進んだが過密という根本問題は解消されず海峡は世界物流の恩恵と脆弱性を象徴し続けた。
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