Monday, June 30, 2025

笑いは許されぬ国 ― 北朝鮮とサイバー報復の時代(2014年)

笑いは許されぬ国 ― 北朝鮮とサイバー報復の時代(2014年)

2014年、北朝鮮を題材にしたコメディ映画『ザ・インタビュー』が、思いもよらぬ国際事件を巻き起こした。金正恩の暗殺をテーマにしたこの映画は、北朝鮮にとって国家の"尊厳"を傷つける挑発だった。その報復として、北朝鮮のハッカー部隊「ラザルスグループ」によるソニー・ピクチャーズへのサイバー攻撃が発生。赤いドクロマークが画面に現れ、未公開映画や個人情報が暴露され、映画館は脅迫を受け上映を中止した。アメリカ国内でも議論が沸き起こり、オバマ大統領は「言論の自由が屈した」と非難した。この事件は、国家が娯楽と自由な表現に報復しうること、そしてサイバー空間が新たな戦場であることを知らしめた。笑いが戦争の火種となったこの事件は、21世紀の冷戦の断片として記憶されている。

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