中国・深センと中山:RoHS規制で輸出減少 ― 2006年9月
2006年、中国・広東省の深セン市や中山市では、EU向けの電子製品輸出が大幅に落ち込んだ。背景には、同年7月に施行されたEUのRoHS指令がある。これは電気・電子機器に含まれる鉛やカドミウムなど6種の有害物質を原則使用禁止とする規制で、環境と健康への影響を抑えるための国際的な取り組みだった。
当時、中国の製造業は急成長の最中にあり、特に広東省は「世界の工場」として知られていた。しかし、安価な大量生産を前提とした体制では、RoHSへの即時対応は困難だった。EU側の検査基準の不明瞭さや、中国国内の試験分析体制の未整備により、多くの企業が輸出を控えた。その結果、深センでは前年同月比で8.5%減、中山では7.7%減となった。
この事態は、単なる通商問題にとどまらず、中国製造業にとって「環境品質の時代」の到来を告げるものであった。翌年には「中国版RoHS」も施行され、国内でもサプライチェーンの環境対応や品質保証体制の整備が本格化していく。2006年のこの一連の混乱は、グローバル基準への適応と製造業の構造転換を迫る象徴的な出来事だった。
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