2024年8月9日金曜日

水素エネルギーを活用した次世代自動車 - 2007年7月20日

水素エネルギーを活用した次世代自動車 - 2007年7月20日

次世代のエネルギーとして注目されている水素エネルギーを利用した自動車技術が、近年急速に発展しています。中でも「水素自動車」と呼ばれる技術は、従来の燃料電池車とは異なり、水素を直接燃焼させて車両を駆動させる点で大きな注目を集めています。この技術の最前線に立つのが、ドイツのBMW社が開発した「ハイドロジェン7」です。

ハイドロジェン7は、ガソリン車である「760i」をベースにした4ドアセダンで、排気量6000ccの12気筒エンジンを搭載しています。この車両は、ガソリンと水素を燃料として選択的に使用できるハイブリッド型で、ステアリングホイールに設置された「H2」ボタンで燃料の切り替えが瞬時に行えます。水素燃料では200km以上、ガソリンモードでは500kmの走行が可能で、CO2の排出量は5g/km程度に抑えられています。

水素燃料を使用することで排出されるのは水蒸気のみであり、地球温暖化に対する負荷が非常に低いことが特長です。また、この車両に搭載されている水素タンクは、40層の薄いアルミホイルで作られたインナータンクを、炭素繊維の合成素材で作られたアウターシェルと真空層で覆うことで、優れた断熱効果を持たせています。これにより、マイナス253度Cで圧縮された液化水素を8kg充填できるようになっています。

BMW社は、このハイドロジェン7を用いて、日本全国で公道走行試験を実施し、次世代エネルギーである水素の普及啓発を進めています。この試験は、単なる技術デモンストレーションにとどまらず、日本の部品メーカーとの連携を深め、今後のコストダウンや性能向上を図る目的も兼ねています。現在、日本国内には液化水素供給ステーションが整備されていないため、移動式の水素供給ユニットが併用されていますが、インフラ整備が進むことで、さらに商業的な展開が期待されています。

ハイドロジェン7の開発には、日本の大手部品メーカーが重要な役割を果たしており、周辺部品の開発が今後の水素自動車の市場拡大に寄与することが予想されます。これにより、環境負荷を大幅に削減できる水素自動車が、新しいビジネスチャンスを生み出しつつあります。

このように、水素エネルギーを活用した自動車技術は、地球温暖化対策としても有望であり、今後ますます注目される分野となるでしょう。ハイドロジェン7の成功は、水素エネルギーを活用した次世代自動車の普及と、持続可能な社会の実現に向けた一歩となることが期待されます。

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