2024年8月11日日曜日

包装材リサイクル法成立 1995年11月

包装材リサイクル法成立

1995年6月9日、「容器包装に係わる分別収集・再商品化促進法」、通称「包装材リサイクル法」が成立しました。この法律は、ビンや缶、プラスチック製容器、紙箱などの容器包装ゴミを分別収集し、リサイクルする義務を企業に課すことを目的としています。この法律は、増え続けるゴミを減らし、リサイクルを促進するための大きな一歩となりました。

法律の主な対象となるのは、食品や飲料などの製造業者およびそれらの容器を製造する業者です。さらに、百貨店やスーパーなど、小売業者も法律の適用を受けます。ただし、従業員が20人以下の製造業者や5人以下の小売業者といった小規模事業者については、法の適用が免除されます。また、中小企業に対しては3年間の義務猶予期間が設けられています。

法律施行後は、各企業が市町村で分別収集された容器包装ゴミを引き取り、リサイクルを行うことが義務付けられます。企業は、リサイクルのために公益法人を設立し、その法人にリサイクル義務の履行を委託することも可能です。厚生省は、制度が軌道に乗った段階で、企業の負担額を約1000億円と見積もっています。これは、ペットボトル1本あたり1.3円、ガラス瓶1本あたり0.1円のリサイクルコストに相当します。法律では、これらのコストを製品価格に転嫁し、最終的には消費者が負担することも認められています。

1997年の施行当初に分別収集される容器包装ゴミの対象は、ビン、缶、紙バッグ、ペットボトルなどです。プラスチック製容器などのリサイクル技術が未確立のものについては、2000年までにリサイクルの対象とされる予定です。

この法律の成立を受けて、産業界はリサイクル率向上に向けた具体的な検討を開始しました。特に、飲料業界で広く使用されているペットボトルのリサイクル率は、法律成立時点で1%未満という低水準にとどまっていました。そのため、栃木県において共同で再生工場を運営している容器・樹脂メーカー各社は、今後の再生技術の一層の開発に力を入れる方針を示しています。また、必要に応じて第2工場の建設も検討されています。

さらに、食品業界もリサイクル義務を負うこととなり、そのコストを価格に転嫁するかどうかについても検討が進められています。例えば、キッコーマンは「今後出される政令で細目が決まったあとで検討する」としています。

この包装材リサイクル法の成立は、環境保全に向けた企業の新たなコスト負担を促すものであり、消費者にもゴミ分別の徹底が求められることになります。日本の産業界がこの新たな法律にどう対応していくのかが、今後の環境保全活動の進展に大きく影響を与えるでしょう。

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