気候と人口の安定化 - 2000年2月
ワールドウォッチ研究所は「地球白書2000」で、気候変動と人口増加が21世紀の最大の課題と発表しました。国連の推計によれば、2050年までに世界人口は89億人に達する見通しであり、これを80億人以下に抑制するためには、各国での家族計画や教育の強化が急務とされています。特に、インドやナイジェリアのような人口増加率の高い国々における対策が求められています。
気候の安定化に向けて、温室効果ガスの削減が不可欠とされ、報告では二酸化炭素(CO₂)排出量を1990年比で25%削減する必要があるとしています。これを達成するためには、2030年までに太陽光や風力発電を世界全体のエネルギー供給の30%に引き上げることが提言されています。また、アメリカや中国など主要な二酸化炭素排出国に対しては、石炭から再生可能エネルギーへの移行が急務とされます。
エネルギー転換については、石炭火力発電から太陽光発電や風力発電へのシフトが強調されています。報告によると、1キロワット時あたりの発電コストは、太陽光で約24円、風力で13円に達するものの、将来的にはさらなるコスト削減が期待されています。これにより、2050年までに年間100億トンのCO₂削減が可能になると見込まれています。
ワールドウォッチ研究所は、こうした気候変動対策のためには政府間の連携が不可欠であり、国際的な枠組みでの協調が求められると述べています。報告は、今後の経済成長と持続可能性を両立するため、政府、産業界、市民が協力して行動する必要があると強調し、特に先進国の役割を重視しています。
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