天然ガス・バイオマス再生可能エネルギー(千葉県袖ヶ浦市・英国ノース・ヨークシャー・米国) - 2023年
千葉県袖ヶ浦市では、2006年に地元の風力資源を利用した「中袖クリーンパワー」プロジェクトが始動しましたが、2023年にはさらなる発展として三菱パワーと袖ヶ浦パワー株式会社が協力し、1.95GWの出力を持つ天然ガス火力発電所を建設しています。この発電所には三菱重工業製の最新型M701JACガスタービンが採用され、将来の水素100%燃焼にも対応可能な構造となっています。この設備は、2030年の脱炭素目標達成に向けた取り組みの一環として、地域のエネルギー自給率向上と環境負荷の低減を目指しています。加えて、ドゥーサン・シュコダ・パワーによる75MWのバイオマス発電所の計画も進行中で、木質バイオマスを燃料とした発電により、持続可能な地域エネルギーインフラの一部となることを目指しています。
同じく再生可能エネルギーにおいて大規模な転換を遂げたのは英国のノース・ヨークシャーにあるドラックス社の発電所です。この発電所は、もともと石炭を燃料としていましたが、バイオマスに転換され、米国やカナダから輸入した木質ペレットを使用し、年間400万世帯分の電力を供給しています。ドラックスは、環境へのさらなる配慮として、2027年までにBECCS(二酸化炭素捕捉・貯留技術)を導入し、年間800万トンのCO₂を大気中に放出せずに地中へ貯留する計画です。この技術により、ドラックスは負の炭素フットプリントを実現することを目指し、バイオマスと炭素捕捉技術の組み合わせでゼロエミッションに貢献しています。
米国では、インフレ抑制法(IRA)の施行により、風力や太陽光を中心とした再生可能エネルギー導入が加速しており、特に各州ごとのインセンティブが強化されています。たとえば、テキサス州やカリフォルニア州では、大規模な太陽光発電設備の建設が進行しており、グリッドへの再生可能エネルギー供給が増加中です。また、IRAは地域別の投資を推進し、エネルギーの安定供給や州単位での脱炭素化目標の達成にも寄与しています。米国全土で分散型エネルギー供給が進む中、低炭素社会を目指した制度や技術が地域ごとに発展し、エネルギーの自給率向上と気候変動への対応が図られています。
これらの取り組みは、日本や他国で再生可能エネルギーが地元の資源や社会に密着した形で推進されていることを示しており、持続可能なエネルギーシステム構築のモデルケースとして各地で注目されています。
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