廃棄物エネルギー活用の北欧モデル - 2004年5月
北欧諸国では、廃棄物からエネルギーを生成する取り組みが先進的に展開されています。特に、デンマークのコペンハーゲンやスウェーデンのストックホルムでは、廃棄物焼却施設が都市の主要なエネルギー供給源として機能しています。たとえば、コペンハーゲンのアマー・リソースセンターでは、年間約400000トンの廃棄物を焼却し、電力と熱の供給を行っています。この施設は、廃熱を住宅地へ供給する地域暖房システムに組み込み、約50000世帯に電力を、120000世帯に暖房を供給しています。
廃棄物のエネルギー転換効率は42%を超え、焼却残灰から年間約8000トンの金属を回収しています。スウェーデンのヴェステロース市では、年間200000トンの食品廃棄物からバイオガスを生成し、公共バス約100台に燃料として利用。これにより、二酸化炭素排出量を年間約8000トン削減しています。
デンマークでは、廃棄物の約94%がリサイクルまたはエネルギー転換され、埋立率は3%未満に抑えられています。ストックホルム市では、廃棄物管理企業フォルタムが毎年約80000世帯に電力を供給。さらに、ノルウェーやフィンランドから年間約50000トンの廃棄物を輸入し、焼却エネルギーの安定供給を図っています。
これらの取り組みにより、地域全体のエネルギー効率が向上し、化石燃料の使用が大幅に減少しています。焼却施設の排ガスは厳しく管理され、二酸化炭素や窒素酸化物の排出も基準値以下に抑えられています。この北欧モデルは、環境負荷を低減しながら都市機能を支える優れた事例として、日本でも導入が進められています。
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