日本の廃棄物処理の歴史と現状
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### 2000年の廃棄物処理の課題と対策
2000年代初頭、日本では廃棄物処理場の不足が大きな課題となっていました。特に東京都と大阪府では、処理場の残余年数が平均1.6年と報告され、不法投棄の増加が懸念されていました。この問題に対応するため、2001年に「新廃棄物処理法」が導入され、自治体には処理施設の計画的な整備が義務付けられました。川崎市や北九州市では廃棄物発電プラントが導入され、廃棄物のエネルギー回収が進められました。
企業の取り組みとしては、川崎重工業や積水化学工業が廃プラスチックの再利用技術を共同開発し、セブン-イレブン・ジャパンは店舗でのリサイクル材使用を拡大するなど、持続可能な社会を目指す動きが強化されました。さらに、廃棄物の増加に対応するため、「拡大生産者責任(EPR)」の導入が議論され、製品廃棄物の回収と再利用が推進されました。
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### 2020年代の現状と新たな課題
2020年代に入り、日本の廃棄物処理場の状況はある程度改善されました。2022年度時点では、全国の廃棄物処理場の残余年数が22.4年とされており、逼迫していた2000年代と比較すると余裕がある状況です。ただし、地域によっては引き続き課題が残り、特に都市部では効率的な廃棄物管理が求められています。
大阪府では、2022年度に289万トンの廃棄物が排出され、そのうち家庭系ごみが172万トン、事業系ごみが117万トンを占めました。しかし、再生利用率は13.0%にとどまり、全国平均の19.6%を下回っています。プラスチック廃棄物については、2020年に全国で822万トンが排出され、そのうち62%がサーマルリサイクルで処理されましたが、14%は未利用のまま焼却または埋立に回されています。
大阪市では食品ロスが年間4.1万トン発生しており、「生ごみ3きり運動」や「30・10運動」を通じて、食品ロス削減を進めています。市民や事業者の協力を得て、分別収集の強化や資源循環の促進が進行中です。
企業の取り組みも引き続き重要です。川崎重工業と積水化学工業は、廃棄プラスチックの再利用技術の開発を進め、セブン-イレブン・ジャパンはリサイクル材の使用を推進しています。これにより、企業と自治体、住民が協力し、廃棄物削減と資源循環型社会の構築に向けた取り組みが加速しています。
これらの施策は、2000年代の課題を引き継ぎながら、より高度なリサイクル技術と地域社会の協力を求める方向に進化しています。今後も政府、自治体、企業が連携し、効率的な廃棄物管理と資源の有効活用に向けた取り組みを強化することが不可欠です。
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