FRP廃船の不法投棄問題 - 2000年2月
FRP(繊維強化プラスチック)製の船体は、耐腐食性と軽量化を両立し、特に漁業が盛んな北海道や瀬戸内海沿岸などで多用されています。
しかし、FRP船の廃棄処理は困難であり、毎年約12000隻が廃船となっています。そのうちの約40%が適切に処理されず、鹿児島県や沖縄県の離島地域、または瀬戸内海で不法投棄され、深刻な環境汚染と漁業被害を引き起こしています。
FRPは化学的に安定しているため、通常の焼却処理では有毒ガスが発生するほか、処理コストが1トンあたり25000円から35000円に達します。
この高コストが不法投棄を助長しており、沖縄の石垣島や鹿児島県奄美市では漁場の破壊が問題視されてきました。
運輸省は2005年を目標に、FRP廃船の約70%を再資源化するリサイクルシステムを構築する方針を打ち出しました。
具体的には、三菱重工業が開発するモジュール化設計による再利用技術を活用し、劣化した部分のみを交換する方法が推進されています。
さらに、FRP船を粉砕し、建材や道路舗装材の原料として再利用する取り組みも進行中です。
また、FRP船の再販売システムでは、造船メーカーが回収した廃船を修理・再整備し、再び市場に出荷する仕組みを導入。
年間3000隻のFRP船が再利用される見込みで、これにより処理コストが約15%削減されると試算されています。
さらに、地方自治体や漁協と連携し、適切な処理施設を整備する計画も進められています。
新設される施設では、1日に100トンの廃船を処理でき、国と地方が補助金を拠出して不法投棄の防止と循環型社会の形成を目指します。
このような取り組みにより、FRP廃船問題の解決が期待され、海洋環境の保全と地域経済の活性化につながることが見込まれています。
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