### バーゼル条約違反の不法輸送に関する詳細な歴史
#### 1990年代:バーゼル条約の採択と日本の対応
1989年に採択され、1992年に発効したバーゼル条約は、有害廃棄物の国境を越えた移動を規制することを目的としていました。日本は1993年に加盟し、廃棄物の管理強化を開始しました。1998年、マレーシア・クチンで開催された会議では、リサイクル目的の有害廃棄物輸出規制が議論されましたが、合意に至らず、日本は12466トンのエッチング廃液や使用済み触媒を輸入しました。
#### 2000年代:電子廃棄物の増加と法規制の強化
2000年代に入り、日本は東南アジア諸国からの電子廃棄物(E-waste)の輸入量が増加しました。DOWAグループの小坂製錬所や三菱マテリアルの直島製錬所が、鉛、銅、銀を含む廃棄物のリサイクル拠点として重要な役割を果たしました。2005年の輸入量は14637トンに達し、廃棄物管理の重要性が一層高まりましたが、違法輸送のリスクも大きな課題となりました。
#### 2010年代:バーゼル法の改正と輸入手続きの簡素化
2018年、日本はバーゼル法を改正し、事前同意メカニズムに基づき、環境に配慮したリサイクル施設への輸入を迅速化しました。この改正により、プリント基板(PCB)や使用済み蓄電池の輸入がスムーズになり、規制対象から除外される廃棄物も増加しました。三菱マテリアルやJX金属が鉛や水銀を含む有害廃棄物の処理をさらに拡充しました。
#### 2020年代:違法輸送の監視強化と国際協力
2020年代には、日本は東南アジア諸国との連携を強化し、違法輸送の監視体制を整備しました。2020年には72112トンの有害廃棄物が輸入され、その多くは三菱マテリアルの直島製錬所やJX金属の日立製錬所で適切に処理されました。また、電子スクラップの不適切な処理による火災や悪臭などの問題が発生し、政府は違法輸送の取り締まりを強化しています。
日本はこうした取り組みを通じ、廃棄物管理の効率化と環境保全の両立を目指しており、バーゼル条約に基づく規制を順守しながら、グローバルな環境保全に貢献するための技術開発を進めています。
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