北欧における廃棄物エネルギー利用の歴史と現状
### 歴史的背景
北欧では、20世紀半ばから廃棄物をエネルギー源として活用する取り組みが始まりました。特にデンマークのコペンハーゲンとスウェーデンのストックホルムでは、廃棄物焼却によるエネルギー供給が都市インフラの柱となっています。2004年には、コペンハーゲンのアマー・リソースセンターで年間400000トンの廃棄物が焼却され、50000世帯に電力を、120000世帯に暖房を供給していました。エネルギー効率は42%を超え、焼却灰からは毎年8000トンの金属が回収されています。
一方、スウェーデンのヴェステロース市では、200000トンの食品廃棄物からバイオガスを生成し、公共バス約100台がこれを燃料として使用。こうした取り組みで二酸化炭素排出量が年間8000トン削減されました。2000年代初頭までに、北欧諸国は廃棄物の約94%をリサイクルまたはエネルギー転換し、埋立率を3%未満に抑えることに成功しました。
### 2020年代の現状
コペンハーゲンでは、2017年に「アマー・バッケ廃棄物エネルギープラント」が完成し、150000世帯にエネルギーを供給しています。エネルギー効率は107%に達し、排出ガスは厳格に管理されています。さらに、同施設は500メートルのスキー場を屋上に備え、市民にレクリエーション施設として提供されています。
スウェーデンでは、家庭廃棄物の99.3%がエネルギーまたはリサイクル資源として利用され、ストックホルムのヴェルタハムンでは、バイオ燃料施設が地域のエネルギー供給を担っています。また、イギリスやノルウェー、イタリアなどから廃棄物を輸入し、1億ドルの収益を得ています。こうした取り組みが気候変動への対応を強化し、都市の持続可能な発展に貢献しています。
北欧のこのモデルは、エネルギー効率と環境保全を両立させた成功事例として、日本を含む他国でも注目されています。今後も化石燃料の削減と環境保護の両立を目指す取り組みが継続されるでしょう。
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