ロシアによる放射性廃棄物の海洋投棄 - 1996年10月
ロシアでは、旧ソ連時代からの核廃棄物の海洋投棄が問題となっています。バレンツ海とカラ海には、約17000個の放射性廃棄物コンテナが沈められ、その総放射能量は2.5百万キュリー(Ci)を超えるとされています。また、原子力潜水艦「K-27」の廃炉や核燃料再処理施設の残留物も投棄されており、生態系への長期的な影響が懸念されています。
特に、北極圏の環境保護の観点から、周辺のノルウェー政府はロシアに投棄停止を強く要請しました。1993年のロンドン条約で放射性廃棄物の海洋投棄が禁止されたにもかかわらず、1994年までにさらに11基の原子炉が海中に捨てられたと報告されています。これらのうち、一部は使用済み核燃料を含んだままの状態で沈められました。
ロシア政府は、年間約1億ルーブル(約2億円)の予算を投じて、陸上での廃棄物処理施設を整備すると発表しましたが、経済危機の影響で進展が遅れています。これに対応するため、欧州復興開発銀行(EBRD)やノルウェー政府が支援する「北極圏放射性廃棄物除去計画」が始動しました。
この問題は、漁業資源の減少や海洋生態系への長期的な悪影響をもたらし、北極圏全体の環境に深刻な脅威を与えています。
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