Sunday, April 20, 2025

静かなる反乱軍――家電が犯罪に加担する時代(2014年)

静かなる反乱軍――家電が犯罪に加担する時代(2014年)

2014年、Ars Technicaは問いかけた。「あなたの家電は、気づかぬうちに誰かの命令で動いていないか?」 冷蔵庫 テレビ ネットワークカメラ Wi-Fiルーター――日常の風景に溶け込んだ機器たちが、いまや悪意ある命令で動き出す兵器と化している。

象徴的だったのが、Linux.Darllozの登場だ。これはルーターや家電製品に使われる古いLinuxシステムの脆弱性を突いて侵入し、仮想通貨Moneroの不正マイニングを実行。さらに感染したデバイスをボットネットに取り込み、DDoS攻撃の加担者とする。その静けさゆえに、持ち主すら気づかないまま、犯罪の中枢を担うのだ。

実際、2014年1月にはアメリカのセキュリティ企業Proofpointが、「冷蔵庫がスパムメールを送信していた」という衝撃的な報告を発表した。家庭のスマート冷蔵庫やテレビなどのIoT機器10万台以上が乗っ取られ、75万通以上のスパムを発信していたという。
同年、セキュリティ研究者が家庭用ルーターを通じてD-Link製の監視カメラをハイジャックし、世界中の監視映像を覗き見できる状態だったことも明らかにされた。

その後も、Mirai(2016年)によって大規模DDoS攻撃が発生し、DNSサービス大手Dynが一時停止、TwitterやNetflixなど多数のサイトがアクセス不能に陥るなど、IoT家電が「武器」となりうる現実が世界に突きつけられた。

パソコンと違って、家電は更新されず、セキュリティ意識も薄い。パスワードは初期設定のまま、ファームウェア更新も放置される。その静寂と油断が、悪意に付け込まれる隙となる。

「テレビをつけた瞬間、あなたはサイバー戦争の一端を担っているかもしれない。」
この新たな現実に対し、IoTメーカーとユーザー双方の覚醒が求められている。

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