絶滅を運ぶ静かな風――第六の大量絶滅と両生類の悲劇（2020年代）

絶滅を運ぶ静かな風――第六の大量絶滅と両生類の悲劇（2020年代）

現代は「第六の大量絶滅」と呼ばれる未曾有の時代に突入している。自然界では本来、種の絶滅は極めて緩やかに進むものだった。だが今、絶滅の速度は自然なペースの数十倍から数百倍に達し、地球規模で生物が姿を消している。森林破壊、気候変動、乱獲、外来種の侵入、環境汚染――あらゆる人間活動が、陸と海と空をまたぎ、命の網を断ち切ろうとしている。

とりわけ両生類は、その危機の最前線に立たされている。カエルやサンショウウオなど、世界の種のおよそ四〇パーセント以上が絶滅の危機に瀕している。彼らは皮膚呼吸に依存し、水と陸の両方の環境を必要とするため、わずかな汚染や環境変化にも致命的な影響を受ける。さらにツボカビ症と呼ばれる新興感染症が、人間活動によって世界中に拡散され、免疫を持たない多くの種を絶滅に追いやった。

アフリカゾウやクロサイの急減、ハワイ島の鳥たちの消失、昆虫の崩壊、サンゴ礁の白化――失われる命の波は、あらゆる生態系を飲み込みつつある。第六の大量絶滅は、私たちの目に見えない静かな風となり、今この瞬間も、世界を変え続けているのである。