煤煙と緑の狭間に――中国石炭火力発電の光と影(2020年代)
中国は、広大な大地を揺るがすかのごとく、石炭火力発電に依存し続けてきた。2020年代に入ってなお、石炭は発電量の60%以上を支え、国の成長と安定を背後から支えている。内モンゴル、山西省、陝西省――これら炭鉱地帯は、日々、膨大な石炭を各地へと送り出している。
しかし、時代の潮流は変わった。中国政府は「2060年カーボンニュートラル」達成を世界に約束し、太陽光と風力の拡大を急ぐ。巨大なパネル群が乾いた大地に敷かれ、鋭い風を受けるタービンが列をなす。それでもなお、石炭火力の灯は消えない。2022年、中国は新たに約106GWもの石炭火力発電を許可し、世界の新設分の80%以上を占めた。地方政府は、電力不足と経済停滞を恐れ、今も石炭への回帰を選び取っている。
とはいえ、時折見える希望の兆しも無視できない。2024年上半期、石炭火力の新規承認量は前年同期比で約80%減少した。グリーンピース東アジアは、これを脱石炭への小さな一歩と見る。しかし、電力グリッドの未整備や安定供給への不安が、再エネの普及に立ちはだかる現実もある。
石炭火力の延命を支えるため、中国は超超臨界圧発電やCO2回収・貯留技術の導入にも踏み出している。だが、技術革新の歩みは遅く、広大な国土を覆う黒い煙の幕を完全に晴らすには、なお長い時間が必要だ。
経済成長、エネルギー安定、脱炭素――三つの旗を掲げながら、中国は矛盾する未来へ、いま、歩みを進めている。
関連情報まとめ
- ロイター(2025年4月25日)
中国の風力・太陽光発電容量が初めて化石燃料発電容量を上回ったが、発電量ベースでは再生可能エネルギーが全体の22.5%にとどまった。送電インフラの課題も浮き彫りに。
- EcoMatome(2024年)
2024年上半期に新規承認された石炭火力発電所は14基、総容量10.34GW。前年同期比で約80%減少し、脱石炭への動きが見られる。
- JOGMEC(2022年)
建設中または計画中の中国国内の石炭火力発電容量は366GW、世界全体の68%。エネルギー需給逼迫を背景に地方政府が推進。
- ジェトロ(2024年)
中国は2030年までにCO2排出量ピークアウト、2060年までにカーボンニュートラルを目指す。再エネ、水素、省エネ技術への投資が拡大。
- The Guardian(2024年2月13日)
2024年に中国は94.5GWの石炭火力発電所建設を開始。過去10年で最高水準となり、カーボンニュートラル目標との矛盾が指摘される。
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