青木エミ――ハーフモデルの系譜と再生の歩み(1949年~2020年代)
青木エミ(あおき・えみ)は、1949年5月24日、アメリカ・ニューヨーク州に生まれた。父はアイルランド系アメリカ人、母は日本人。3歳で日本に渡り、東京で育った。中学3年のとき、写真家・秋山庄太郎にスカウトされ、「週刊文春」の表紙モデルとして華々しくデビューを飾った。
1960年代、資生堂やカネボウといった大手化粧品メーカーの広告モデルとして活躍し、ハーフモデルの先駆けとして一世を風靡した。20歳で人気グループサウンズ「ザ・スパイダース」の井上順と結婚し、一時芸能界を引退するが、33歳で離婚。その後、自らの新たな道を模索し、ファッションブランド「アルファキュービック」に勤務。食品部門でカフェやケーキのプロデュースを担当するなど、実業界でも才覚を発揮した。
1993年、同ブランド創業者・柴田良三との交際を経て再婚。柴田の退職金をもとに洋菓子店「西麻布ラ・ターブル」を買収、経営に乗り出した。しかし2006年、店は閉店。その後も、会員制バー「ムーン・ダンス」を立ち上げるなど活動を続けたが、母の介護のため62歳で再び幕を引いた。
2023年、73歳となった彼女は、写真集『Laugh』を自費出版。人生を支えてくれた171人との出会いを1冊にまとめ、静かにこれまでの歩みを振り返った。現在は「株式会社パーソンズ」で会長秘書として週1、2日働きながら、穏やかな日々を送る。エッセイストとしても筆をとり、自らの経験を通じて、人々に共感と希望を与え続けている。
どんな逆風にも笑みを絶やさなかった彼女の歩みは、時代の変遷を静かに映す、一つの肖像画である。
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