Monday, April 28, 2025

滅びの静かな鐘――第六の大量絶滅と両生類の悲劇(2020年代)

滅びの静かな鐘――第六の大量絶滅と両生類の悲劇(2020年代)

現代が「新たな大絶滅時代(第六の大量絶滅)」と呼ばれる理由は、人間活動によって地球上の生物多様性が急速に失われているためである。

通常、自然界では種の絶滅は非常にゆるやかに進行する。しかし現在、絶滅の速度は自然なバックグラウンドレートの数十倍から数百倍に達し、異常なペースで生物たちが姿を消している。森林破壊、農地開発、都市化、気候変動、乱獲、外来種の侵入、環境汚染――人間の活動はあらゆる面から生態系を壊し、地球全体に深刻な影響を及ぼしている。過去にも地球は五度、大量絶滅を経験した。六千六百万年前の恐竜絶滅(白亜紀末の大量絶滅)は有名だが、これらはいずれも隕石衝突や巨大火山噴火など自然現象によるものだった。対して、現在進行中の第六の大量絶滅は、人類自身の手によるものである点が、決定的に異なる。

この第六の大量絶滅の特徴は、単に種数が減るだけではない。陸上、海洋、空中のすべての領域で、あらゆる生物が同時多発的に影響を受けていることにある。

たとえば両生類では、カエルやサンショウウオなど、世界の種のおよそ四〇パーセント以上が絶滅危機に瀕している。中南米やオーストラリアでは、外来のツボカビ症(バトラコキトリウム・デンドロバティディス)による感染拡大で、多くの種が壊滅した。両生類は皮膚呼吸を行い、環境の変化に極めて敏感なため、絶滅の最前線に立たされている。

また、大型哺乳類では、アフリカゾウやクロサイが密猟と生息地破壊により激減している。クロサイの個体数は二十世紀初頭には約二十万頭だったが、現在では約五千五百頭以下にまで減少した。

鳥類でも同様の悲劇が進行している。ハワイのハニークリーパー類など、特に島嶼の鳥類は、外来種や病気の影響で大量絶滅が進んでいる。世界全体でも、鳥類の約十四パーセントが絶滅危機にあるとされる。

さらに、ドイツやプエルトリコでの調査によれば、野生昆虫の個体数は過去数十年で七十パーセント以上減少している。農薬使用、気候変動、都市開発による生息地消失が主な原因である。昆虫の崩壊は、受粉、土壌改良、食物連鎖に深刻な影響を及ぼし、生態系全体に波及する。

海に目を向ければ、オーストラリアのグレートバリアリーフでは海水温上昇に伴うサンゴの白化現象が進行し、大規模な死滅が観察されている。サンゴ礁は全海洋生物の四分の一が依存する生態系であり、その喪失は海の生物多様性を根底から揺るがす。

なかでも、両生類がとくに危機的状況にある理由は深刻である。彼らは皮膚から水分と酸素を直接吸収するため、大気汚染や水質汚濁、紫外線増加など、わずかな環境悪化でも致命的な影響を受ける。両生類は生態系の警報装置(バイオインディケーター)とも呼ばれるが、その役割ゆえに、最初に被害を受ける存在となった。

さらに、両生類は卵や幼生を水中で育て、成長後は陸上で暮らすため、水域と陸地の両方の健全性が求められる。片方でも環境が損なわれれば、個体群は急速に壊滅する。こうした両生類の二重依存性は、現代の急速な環境変動下では、致命的な脆弱性となった。

加えて、ツボカビ症のような新たな感染症が人間による国際取引やペット輸送によって世界中に拡散した。免疫を持たない両生類たちは、この病原体に対し、なすすべもなく絶滅の危機に追い込まれた。

両生類の生息地も急速に失われつつある。湿地、森林、池など、彼らが必要とする自然環境は、開発や農業拡大によって次々と破壊されている。特に湿地帯の消失速度は森林伐採を上回る地域すら存在する。

このように、両生類は本質的に環境変動に対して脆弱な構造を持っており、現代の急速な人間活動の影響をもっとも鋭く受けている生物群である。彼らの絶滅は、一つの生物群の喪失にとどまらず、食物連鎖のバランスを崩し、生態系全体を連鎖的に崩壊させる危険をはらんでいる。

第六の大量絶滅――それは、私たちが生きているこの瞬間にも、静かに、しかし確実に進行しているのである。

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