108号-環境技術ーまとめ-2003年7月
EM菌による海岸浄化について詳しく説明します。
### 背景と問題
神奈川県逗子市では、海草の腐敗による悪臭が地域住民にとって大きな問題となっていました。この問題の原因は、腐敗が進行する際に発生する有害ガスや悪臭物質です。従来の方法では、腐敗した海草を物理的に除去することが一般的でしたが、それには手間とコストがかかり、また環境への負荷も懸念されていました。
### EM菌(有用微生物群)とは
EM菌は、Effective Microorganismsの略で、日本語では「有用微生物群」と訳されます。この微生物群は、乳酸菌、酵母、光合成細菌などから構成され、自然界に存在する微生物を利用して環境の改善を図るものです。EM菌は、悪臭の原因となる有害な菌の増殖を抑制し、有害物質の分解を促進する作用があります。
### 海岸浄化のプロセス
逗子市では、EM菌を海岸の特定エリアに散布することで、腐敗が進行中の海草の分解を促し、悪臭の発生を抑える取り組みを行いました。具体的には、海岸に溜まった腐敗した海草にEM菌を直接散布し、微生物の力で海草の腐敗を防ぎ、最終的には自然な分解を促進しました。これにより、従来の物理的な除去作業と比較して、作業の効率化と環境負荷の低減が実現しました。
### 効果と成果
このEM菌を用いた浄化プロジェクトの結果、逗子市の海岸では悪臭が大幅に軽減され、地域住民からの苦情も減少しました。さらに、EM菌の利用は他の海岸地域や水質改善プロジェクトにも応用可能であることが示され、今後の環境改善手法として期待されています。
### 今後の展望
EM菌は、土壌改良、水質浄化、さらには農業分野においても広く活用が進められており、環境負荷の低減と自然環境の再生を促進する技術としての重要性が増しています。逗子市での成功事例を基に、他の地域でも同様の取り組みが検討されています。
このように、EM菌を用いた海岸浄化は、従来の物理的な除去方法に代わる、より持続可能な環境保全の手法として注目されています。
No comments:
Post a Comment