Saturday, May 31, 2025

雨に濡れた舟、恋の余韻――八代亜紀という声の記憶―2023年まで

雨に濡れた舟、恋の余韻――八代亜紀という声の記憶―2023年まで

八代亜紀は1950年、熊本県八代市に生まれ、生活の困難を越え、上京後に歌手を志しました。1971年にデビューするも芽は出ず、苦難の時期を経て、1973年「なみだ恋」で大ヒット。哀愁と情念のこもった声が共感を呼び、続く「舟唄」(1979年)、「雨の慕情」(1980年)で地位を確立。「雨の慕情」は阿久悠・浜圭介の手による作品で、「雨雨ふれふれもっとふれ……」という冒頭が象徴するように、深い慕情と心の渇きを描いた名曲で、日本レコード大賞も受賞しました。

演歌の枠に留まらず、2000年代からは画家としても活躍し、フランス「ル・サロン」に入選。ジャズやブルースにも挑戦し、表現の幅を広げていきました。2023年12月30日、間質性肺炎のため73歳で逝去。哀しみと希望を湛えた彼女の声は、昭和・平成・令和を越えて、今もなお多くの心に静かに響き続けています。

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