Friday, August 29, 2025

東京都港区・千代田区/栃木県佐野市 ― 油汚染土壌浄化の取り組み(2007年前後)

東京都港区・千代田区/栃木県佐野市 ― 油汚染土壌浄化の取り組み(2007年前後)

2000年代前半、日本では工場跡地や都市再開発に伴い油汚染土壌が顕在化し、2003年施行の土壌汚染対策法を契機に調査・届出・措置が広がった。石油系炭化水素は必ずしも法指定物質に含まれないが、自治体ガイドラインや自主基準に基づく対応が求められ、都市部再開発では「迅速・確実・再利用可能な処理」が不可欠となった。こうした中、鹿島道路(日比谷)、日エ(千代田区)、音坂砕石鉱業(栃木県佐野市)が設立した「ソレック栃木」は、都市で発生した汚染土を地方で浄化・資源化する実務モデルとして注目された。

同施設の核は低温加熱方式(LTTD)である。150〜350℃に加熱した回転炉や乾燥機で土壌中の油分を揮発・蒸散させ、発生ガスをアフターバーナで高温酸化し、バグフィルタや洗浄塔で除去する。処理後の土は残油分を基準以下に下げた上で砕石場の埋立や整地材に再利用し、最終処分を抑制した。都市部から輸送される土壌は覆付ダンプで搬出され、受入施設では検査・臭気対策・ミスト散布で環境負荷を軽減。マニフェスト管理と迅速分析により透明性を確保した。

LTTDは短期間で大量処理が可能で、焼却よりも資材化に適する点が利点であった。対象はTPHやBTEXなどで、難揮発成分には温度や滞留時間調整、活性炭処理を併用。2007年前後は原油高と京都議定書による削減圧力があり、エネルギー効率やLCA視点も重要視された。都市再開発と地方資源循環を結んだこの取り組みは、環境保全、資材再利用、地域振興を同時に達成する先駆的事例として高い意義を持った。

No comments:

Post a Comment