熊本に響く若者の声―社会課題解決の新たな萌芽 2025年夏

熊本に響く若者の声―社会課題解決の新たな萌芽 2025年夏

2025年当時、日本は少子高齢化の加速と地方都市の人口流出に直面しており、各地域で「いかに持続可能な経済と生活環境をつくるか」が重要な課題となっていた。特に熊本は、2016年の震災からの復興や、気候変動に伴う豪雨・赤潮被害といった環境リスクを抱えており、地域社会と産業界、行政が一体となった新たな取り組みが求められていた。

この状況の中で、学生や起業家たちが登壇し、自らの視点から社会課題を読み解き、未来に向けた提案を行った。AIを活用した地域データの解析による防災・産業支援や、竹炭を用いた赤潮対策といった案は、単なる技術的発想にとどまらず、地域資源の循環利用や生態系保全を意識したものだった。彼らの発表は、行政担当者や地元企業の関心を引き、まるで公開討論のように質疑が飛び交い、世代や立場を超えた対話の場となった。

当時の政府は「地方創生」と「グリーントランスフォーメーション（GX）」を同時に推進しており、地域からの実践的なアイデアは国の政策にも接続され得るものと期待されていた。熊本でのこうした試みは、環境と経済を両立させる地方発のモデルを模索する実験場であり、若い世代が未来を主体的に語り出す象徴的な場面だったのである。