熱波の檻に閉ざされた都市――上海・杭州・ドバイ・ドーハ――21世紀半ば
中国の華北平原や東海岸は、夏季において世界でも屈指の高温多湿地帯となりつつある。今後の気候変動により、湿球温度が人体の耐性限界に迫る日が増えると予測される。湿球温度が三十五度を超えると、発汗による体温調節は機能を失い、数時間で致命的な熱ストレスに至る危険がある。上海や杭州のような巨大都市は、高い人口密度とヒートアイランド現象が重なり、その危険性を一層増幅させる。これらの都市は経済の中枢でもあり、屋外労働や交通インフラの運用が不可欠なため、猛暑時には労働生産性の低下や医療機関の逼迫が現実の脅威となるだろう。
一方、中東のドバイやドーハでは、すでに気温五十度に迫る夏の酷暑をしのぐため、公共空間に冷房が導入されている。歩行者専用道路や屋外商業施設には冷風が流れ、冷房付きのバス停や歩道が整備されている。カタールではさらに極端で、スタジアムや市場、主要な歩道に至るまで空調が行き渡り、屋外イベントやスポーツ大会を可能にしている。しかし、このような屋外冷房は膨大な電力消費と温室効果ガス排出を伴い、長期的には気候変動を悪化させる逆説的な課題を抱える。また、冷却の恩恵を受けられる層とそうでない層との格差が広がり、社会的分断の種となる危険性も孕んでいる。
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