ゴルフ場を舞台にした太陽光発電の「もしも」対話―2004年5月
2004年当時、日本はバブル経済崩壊から十余年を経て、土地利用の再構築が課題となっていた。特に90年代に急増したゴルフ場は、会員権バブルの崩壊と企業接待需要の縮小で経営難に陥り、遊休化する例が全国で目立っていた。同時期、京都議定書の採択を背景に温室効果ガス削減が国際的な義務となり、再生可能エネルギーの導入が国家的課題となっていた。このような時代背景のなかで、遊んでいるゴルフ場の広大な土地を太陽光発電に活用するという発想は、大胆でありながら現実味を帯びたものとして提示された。
記事は「客が入らないゴルフ場に太陽光発電を置いてはどうか」と読者に語りかける形で始まり、1ホール1万4000平方メートルに10kWシステムを設置する具体例を試算する。年間100万kWhの発電量や2400万円相当の電力価値を提示し、フェアウェイをエネルギー畑に見立てた想像を促す一方、初期投資の巨額さ、売電契約や制度的制約といった現実的な課題も同時に明らかにしている。
この「もしも」の発想は当時は先駆的なものであったが、後に閉鎖されたゴルフ場をメガソーラー建設に転用する事例が全国で広がり、現実のものとなった。記事が語りかけた未来像は、遊休資産と環境問題の両立を探る日本社会において、希望の一端を示す提案であった。
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