Monday, October 27, 2025

食の国境、信頼の綱渡り──2004年 食料輸入大国・日本のリスク意識再考

食の国境、信頼の綱渡り──2004年 食料輸入大国・日本のリスク意識再考
2004年当時、日本の食卓には静かに国境を越えたリスクが忍び寄っていた。
食品のグローバル流通が進む中、残留農薬、カビ毒、遺伝子組み換えなどの見えないリスクが、かつてない速度で世界を駆け巡っていた。日本は食料自給率が約40%と先進国中で最低水準にあり、特に穀物や飼料の多くを輸入に頼る構造が定着していた。
加えて、国内農業は高齢化と耕作放棄地の増加に直面していた。これにより輸入食品への依存は深まり、検査体制と国際的な安全基準の連携は不可欠となった。2001年以降、食品偽装や残留農薬問題が相次ぎ、消費者の食品に対する信頼も大きく揺らいでいた。
国は2003年に食品安全委員会を設置し、リスク評価を科学的に進める枠組みを整備。港湾でのモニタリング検査、命令検査、包括禁止制度などの制度改革が段階的に進められていた。輸入元の製造環境に対する現地調査も強化され、厚生労働省は2004年に「食品衛生法の見直し」などの動きも加速させていた。
とはいえ、国民の不安は消えなかった。なぜなら、これらの制度的措置は、あくまで「後追い」であり、国際的なリスクはスピードと複雑性を増していたからである。多国間で連携せねば解決できぬリスクが、日々の食卓を揺るがしていた。自給率の回復とともに、リスクを国際協調の中で制御する道が、2000年代の日本には問われていた。
そして今もなお、この問いは続いている。食の安全は、単なる検査や数値で測れるものではない。それは、生きることそのものの基盤、信頼の問題である。

No comments:

Post a Comment