産業廃棄物の最終処分場不足と不法投棄の増加懸念(1990年代末)
1990年代末、日本の産業廃棄物行政は深刻な行き詰まりに直面していた。本号で示された「最終処分場の残余年数1.6年(1999年時点)」という数字は、制度が限界に達していることを象徴している。高度経済成長期からバブル期にかけて増大した建設廃材や汚泥、焼却灰などは、量・性状ともに処理能力を超え、最終処分場への依存を強めていた。
処分場不足が決定的となった背景には、新設がほぼ不可能な社会状況があった。ダイオキシン問題や有害物質流出事故を経て、住民の不信感は極度に高まり、地下水汚染や土地利用制限への懸念から、民間処分場計画は各地で頓挫した。行政も強硬に進められず、「必要だが受け入れられない施設」という構造的ジレンマが固定化していく。
記事が強調するのは、こうした制度的閉塞が不法投棄を誘発する点である。合法的処理ルートが逼迫しコストが高騰すれば、排出事業者や悪質業者が法を守る動機は失われ、山林や河川敷への投棄、越境投棄、書類偽装が横行する。不法投棄はモラルの問題ではなく、制度不全が生み出した環境犯罪であった。
この危機認識を背景に、マニフェスト制度強化や規制厳格化、広域処理や溶融炉導入が進められていく。本号は、環境破壊が違法行為として噴出する直前の段階を描き、制度疲労が自然環境と社会秩序の双方を脅かしていた実態を明確に示している。
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