ハミング符号、巡回符号、BCH符号は、いずれも誤り検出・訂正のために設計されたブロック符号ですが、それぞれ特徴と用途が異なります。
まず、ハミング符号は最も基本的な誤り訂正符号で、単一ビットの誤りを訂正できるよう設計されています。パリティビットを使って誤りの位置を特定する仕組みで、最小距離が3となるように構成されます。たとえば7ビット中4ビットが情報、残り3ビットがパリティという「(7 4)ハミング符号」がよく知られています。構成が非常に簡単でメモリや基本的な通信回路などに広く使われていますが、2ビット以上の誤りには対応できません。
次に、巡回符号(CRCなど)は、情報ビット列を多項式とみなし、それを生成多項式で割った余りを冗長ビットとして付加する形式の符号です。誤りの訂正ではなく、検出に特化しており、特に通信の信頼性確保に効果を発揮します。たとえばイーサネット、USB、DVDなど、さまざまなデジタル通信や記録媒体で使われており、1ビットだけでなく、ある程度の連続誤りも検出できる性能を持ちます。ただし基本的には訂正機能を持たないため、誤りが見つかれば再送などの手段が必要になります。
最後に、BCH符号は、もっとも柔軟で強力な誤り訂正符号の一つであり、ガロア体(有限体)の理論に基づいて構成されます。tビットまでの誤りを訂正できるように任意に設計することが可能であり、その訂正能力の高さからCD-ROM、携帯通信、深宇宙通信など、高い信頼性が要求される分野で使われています。構成は複雑で、計算リソースも多く必要になりますが、設計の自由度と訂正性能のバランスに優れています。リードソロモン符号もこのBCH符号の一種として位置づけられます。
まとめると、ハミング符号は簡便で単一誤りの訂正向き、巡回符号は誤り検出向きで実装が容易、BCH符号は高度な訂正能力を持つ高性能な符号です。用途や必要な信頼性に応じて、これらを適切に使い分けることが重要です。
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