Monday, September 29, 2025

「光の海の断絶 ─ 2000年代~2010年代:海底ケーブルと新たなる危機」

「光の海の断絶 ─ 2000年代~2010年代:海底ケーブルと新たなる危機」

海底を走る光ファイバーケーブルは21世紀の情報社会を支える中枢であり世界の通信の九割以上を担ってきた。しかし2000年代以降耐久性や高速性に優れた技術進化が進んだ一方で陸揚げ地点という限られた拠点に依存する構造的な脆弱性が浮かび上がった。もしこれらが攻撃や占領を受ければ通信網は断絶し金融市場やニュース配信は瞬時に停止する可能性があった。当時の英国当局者が「致命的な弱点であり同時に絶好の機会」と語ったのはその二面性ゆえである。技術的にはWDM(波長分割多重化)や光増幅中継器の導入により通信容量は飛躍的に増大したが安全保障上のリスクはむしろ高まった。スノーデン事件でNSAやGCHQが海底ケーブルを通じた大規模監視を行っていた事実が暴かれ通信インフラが単なる民間技術ではなく諜報�
�動と地政学的競争の最前線であることが露呈した。近年でもロシアが調査・破壊用船舶をケーブル近傍で活動させているとの報道がありまた既設光ファイバーを利用した分布型音響センシングによる監視技術が研究されるなど新たな対応策も模索されている。2000年代から2010年代にかけて光の海を巡る安全保障と通信技術の攻防は現代の「見えない冷戦」を象徴する存在となった。

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