2024年8月11日日曜日

「塩ビリサイクル技術の国際協力」 - 1999年3月15日

「塩ビリサイクル技術の国際協力」 - 1999年3月15日

塩ビ(ポリ塩化ビニル、PVC)のリサイクル技術開発を進めるため、日米欧の塩ビ関連団体が国際的な協力体制を築くことになりました。この協力は、日本の塩ビ工業・環境協会、米国のビニル研究所、そして欧州の塩ビ製造協会が中心となって行われます。これまでも情報交換は定期的に行われていましたが、環境問題への対応が急務であるという共通認識から、より積極的な技術開発の取り組みが必要と判断されました。

この国際協力の中で特に重要視されているのが、フィードストック・リサイクルの技術開発です。フィードストック・リサイクルとは、廃塩ビを原料に戻す技術であり、塩ビを分解して一酸化炭素や水素などの化学原料に再生することを目指しています。この技術は、環境負荷を大幅に低減できる可能性を秘めており、特に欧州からはガス化技術の開発が強く要望されています。

日本国内では、宇部興産やダイセル化学工業がこのガス化技術の開発に取り組んでおり、塩ビ工業・環境協会はこれらの企業と連携してプロジェクトを進める考えです。年内には、ベルギー・ブリュッセルで行われる専務理事会合で合意されたフィードストック・リサイクルの技術評価とプロセス確立に向け、パイロット設備の建設が予定されています。このプロジェクトの総経費は15~16億円に達する見込みです。

もう一つの重点テーマは、サーマルリサイクルによって発生する焼却灰やその他の副生成物が環境に与える影響の評価です。この評価は、欧州の中立な研究機関が中心となって行われ、発生要因の解析や生成抑制に向けた検討が進められる予定です。これにより、サーマルリサイクルの環境影響を最小限に抑えつつ、塩ビリサイクルの実用化と普及を図ることが目指されています。

このように、日米欧が協力して塩ビリサイクル技術を発展させることで、持続可能な社会の実現に向けた一歩が踏み出されています。技術開発の進展により、環境負荷の少ないリサイクルシステムが確立されることが期待されています。

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