Wednesday, August 14, 2024

カルシウムを利用したRDFの無害化技術-1998年3月

RDF(Refuse Derived Fuel)は、都市ごみなどを固形燃料化する技術であり、燃焼時に発電や熱供給を行うことができます。しかし、従来のRDFにはいくつかの問題がありました。特に、ごみ中に含まれる塩素が燃焼時に塩化水素(HCl)やダイオキシンを発生させることが大きな懸念材料となっていました。これらの有害物質は、環境や健康に対するリスクが高いため、RDFの普及には障壁となっていました。

この問題に対処するため、三菱重工業はRDFの製造プロセスにおいてカルシウム化合物(主に生石灰)を添加する技術を開発しました。この技術は、以下のメカニズムで有害物質の発生を抑制します。

1. **塩素との反応**: カルシウム化合物をRDFに添加することで、燃焼時に塩素がカルシウムと反応し、塩化カルシウム(CaCl₂)が生成されます。これにより、塩化水素の発生が抑制されます。

2. **ダイオキシンの抑制**: ダイオキシンは、燃焼温度や燃焼環境に大きく依存しますが、カルシウム化合物が存在することで、ダイオキシンの生成を促進する塩素化合物が減少し、ダイオキシンの発生量が大幅に削減されます。

三菱重工業が行った試験によると、カルシウムを7%添加したRDFを燃焼させた場合、排ガス中の塩化水素やダイオキシンの濃度は事実上ゼロに近いレベルまで低減しました。この結果、RDFの環境負荷を大幅に軽減し、より安全なごみ処理方法としての可能性が示されました。

さらに、カルシウムの添加は、ごみ焼却炉の運転にも好影響を与えます。従来のごみ焼却炉では、排ガス中の塩化水素やダイオキシンを除去するために高度な排ガス処理装置が必要でしたが、カルシウムを添加することで、これらの装置の負荷が軽減され、運転コストの削減にもつながります。

この技術は、日本国内外で注目を集めており、環境負荷の低減とエネルギー回収を両立させる有望な手段とされています。今後、RDFの普及が進む中で、このカルシウムを利用した無害化技術が重要な役割を果たすことが期待されています。

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