Wednesday, October 9, 2024

水素吸蔵合金―水素を貯蔵・放出する特性

水素吸蔵合金―水素を貯蔵・放出する特性

水素吸蔵合金は、水素を吸収・放出する特性を持ち、エネルギーの貯蔵や燃料電池などに利用されている重要な素材です。近年、クリーンエネルギー分野で注目されており、特に自動車、産業用機器、エネルギー供給システムに広く活用されています。以下は具体的な企業や製品への活用例です。

1. トヨタ自動車株式会社(Toyota Motor Corporation)
トヨタ自動車は、愛知県豊田市の元町工場で水素吸蔵合金を利用した燃料電池自動車「MIRAI」を製造しています。この車両は、燃料電池技術により水素を動力源としており、1回の充填で最大650kmの走行が可能です。2020年には、この技術を利用した車両の販売台数が累計11000台を超え、トヨタは水素エネルギー社会の実現に向けたリーダーシップを発揮しています。

2. パナソニック株式会社(Panasonic Corporation)
パナソニックは、大阪府門真市の工場で水素吸蔵合金を使用した家庭用燃料電池「エネファーム」を製造しています。エネファームは、水素を使って電気と熱を同時に作り出すシステムで、2021年には約300万世帯で導入されました。パナソニックは、年間50万台の生産能力を持ち、家庭用エネルギー供給の分野で大きなシェアを占めています。

3. 三菱重工業株式会社(Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.)
三菱重工業は、神戸市にある神戸造船所で水素吸蔵合金を使った産業用燃料電池を開発しています。2022年には、大規模な工業用燃料電池システムを大阪府堺市に導入し、工場内のエネルギー供給を水素ベースに切り替えることで、CO2排出を年間約3500トン削減しました。この技術は、重工業分野におけるエネルギー効率化と環境負荷の低減に貢献しています。

4. 本田技研工業株式会社(Honda Motor Co., Ltd.)
本田技研工業は、埼玉県狭山市の狭山工場で、水素吸蔵合金を搭載した燃料電池バイク「Honda Clarity」を製造しています。このバイクは、燃料電池を動力源とし、1回の充填で約200kmの走行が可能です。2023年には、この技術を採用した新型バイクの販売台数が累計15000台に達し、ホンダはクリーンモビリティの分野での取り組みを強化しています。

これらの企業は、水素吸蔵合金を利用した製品を通じて、持続可能なエネルギー利用の促進に貢献しており、今後もさらなる技術開発が期待されています。

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