Tuesday, October 1, 2024

東京湾・大阪湾におけるPCB/DDT汚染の現状と対応-2020年代

東京湾・大阪湾におけるPCB・DDT汚染の現状と対応-2020年代

2020年代においても、日本国内の東京湾や大阪湾ではPCB(ポリ塩化ビフェニル)やDDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)による海洋汚染が依然として深刻です。1970年代に使用が禁止されたこれらの有害物質は、工業廃棄物として長年にわたって海洋に蓄積されてきました。特に、東京湾の一部の海域では、2020年の調査でPCB濃度が100ナノグラム/リットルを超える地点が確認され、環境基準を大幅に上回る状態が続いています。

大阪湾でも同様にPCBやDDTが底質に蓄積されており、2021年の調査では一部の底質から高濃度のPCBが検出されています。阪神工業地帯における過去の工業活動の影響が残っており、今もなお汚染が進行している状況です。また、釧路湿原でもPCB汚染が確認されており、水鳥や魚類への影響が懸念されています。

この汚染の主な原因は、過去に使用されたPCBやDDTが適切に処理されず、廃棄物として海洋に流出したことです。特に日本国内では、1970年代以前に製造された電気機器や塗料にPCBが含まれており、その廃棄物が海や河川に流れ込んでいます。さらに、カネミ油症事件など過去の汚染事例も関連しており、未だに影響が残っている可能性があります。

日本環境安全事業株式会社(JESCO)が中心となり、全国のPCB廃棄物処理を進めていますが、2027年の処理期限に向けて課題が山積しています。特に中小企業や地方自治体では処理が進んでおらず、処理能力の限界が問題となっています。

日立製作所や川崎重工業などの企業は、PCBやその他の有害物質を無害化する技術を開発し、国内外での汚染対策に貢献していますが、地域によっては依然として監視体制が不十分な場合もあります。

今後、日本政府はPCB廃棄物の処理と並行して、PFAS(ペルフルオロアルキル化合物)などの新たな汚染物質への対策も急務としています。国際的な協力のもと、アジア地域全体での環境汚染防止に向けた技術提供と政策強化が求められています。

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