東京湾再生への道:排出枠取引制度の挑戦 - 2003年12月
国土交通省は、東京湾流域における下水道の高度処理を対象とした排出枠取引制度の導入を検討した。2002年度に日本下水道協会内に「下水道事業における排出枠取引制度検討委員会」を設置し、東京湾流域77か所の下水処理場を対象に、3段階の高度処理を仮定したシミュレーションを実施。その結果、排出枠取引を導入することで、既存の計画と比較して最大10%程度の費用削減効果があると試算された。
この調査結果を受け、今後は伊勢湾も対象地域として追加し、より実態に即した排出枠取引制度の設計を進める方針。また、制度設計においては、期待される効果を定量的に把握し、費用対効果を分析することが目的とされている。しかし、具体的な導入時期は未定であり、引き続き制度の研究が進められる見込みである。
一方、イギリスでは2004年から地方自治体間で埋立許可を取引できる新たな制度を導入予定。各自治体に割り当てられた埋立許可を超過した場合、他の自治体から購入できる仕組みであり、埋立処分量削減の効果が期待されている。この制度は、埋立税導入後も増加し続ける埋立処分量を抑制するための施策の一環である。
日本の下水道事業とイギリスの廃棄物埋立規制の両制度は、環境負荷を低減する新たな取引制度の先駆けとして、今後の展開が注目される。
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関連情報:
1. 国土交通省の発表資料(2003年)
東京湾流域の下水道高度処理における排出枠取引制度の検討開始。
2. 2004年6月の報告書
東京湾流域の排出枠取引制度モデルの検討結果 最大3割の費用削減の可能性。
3. 2005年の下水道法改正
排出枠取引の共同負担制度が導入されたが 実施事例なし。
4. イギリスの埋立許可取引制度
2004年から導入され 自治体間の埋立処分量の取引を可能に。
これらの情報により 日本の排出枠取引制度がどのように検討され 今後の課題がどこにあるのかが明確になる。
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