大気を守る戦い:VOC規制の全国展開 - 2003年12月
環境省は、大気汚染防止法の改正により、揮発性有機化合物(VOC)の全国的な排出規制を導入する方針を固めました。
VOCは、光化学スモッグや浮遊粒子状物質(SPM)の原因となる有機化合物で、主に塗装、印刷用溶剤、クリーニングなどの溶剤使用から排出されます。
国内のVOC総排出量の約7割がこれらの溶剤関連業種から発生しており、規制の対象となる見込みです。
この新たな規制では、VOCを排出する一定規模以上の施設に対し、排出口における濃度規制が適用される予定で、トルエンやホルムアルデヒドなどの排出濃度基準の設定が検討されています。
また、排出事業者には、施設設置に関する届け出、基準の順守、測定の義務付けが求められる見通しです。
基準値の設定については、業種ごとに排出抑制技術の開発状況を考慮して決定される予定です。
VOC規制の全国導入により、大気汚染の改善が期待される一方、対象業種には技術導入や設備改修の負担が生じることが懸念されています。
今後、具体的な制度案の策定が進められ、次期通常国会に大気汚染防止法改正案が提出される予定です。
関連情報
- VOC規制の背景と国際的動向: 欧米諸国では、1990年代からVOC規制が進められており、日本でも大気環境基準の達成に向けて、VOC排出抑制が効果的と判断され、法改正が進められています。
- 改正大気汚染防止法の施行: 改正法は2004年5月に公布され、関連政省令も整備され、2006年4月1日から施行されることが決まっています。
- VOCの定義と規制対象: VOCは、揮発性を有し大気中でガス状となる有機化合物の総称であり、法改正により、特定の施設でのVOC排出が規制されることとなりました。
- 自主的取組の重要性: 法規制とともに、事業者の自主的な取り組みが重要視されており、経済産業省は自主的取組促進のための指針を策定しています。
- 健康への影響: VOCは、シックハウス症候群などの健康被害を引き起こすことが知られており、労働安全衛生法などでの規制も行われています。
これらの情報を踏まえ、VOC規制の全国展開は、大気環境の改善と国民の健康保護に向けた重要な一歩といえます。
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