Wednesday, March 12, 2025

緑の未来を築くEU:グリーン調達の新たな地平 - 2025年3月

緑の未来を築くEU:グリーン調達の新たな地平 - 2025年3月

2020年代に入り、欧州連合(EU)は環境配慮型製品やサービスの調達、いわゆる「グリーン調達」の推進をさらに強化しています。
特に、2019年12月に発表された「欧州グリーンディール」は、2050年までにEUを気候中立(温室効果ガスの実質排出ゼロ)とすることを目指す包括的な政策パッケージであり、グリーン調達はその重要な柱の一つとなっています。

2025年の最新動向

- エネルギー料金の引き下げ
欧州投資銀行(EIB)と共同で、5億ユーロ規模のパイロットプランを立ち上げ、中小企業を対象に再生可能エネルギーの長期購入契約を保証。また、電力網部品メーカーを支援するために、少なくとも15億ユーロのパッケージを提供。

- クリーン技術の促進
既存のイノベーション基金や排出量取引制度(ETS)の収益を基に、1000億ユーロ規模の「産業脱炭素化銀行」を2026年に設立予定。さらに、EUレベルの民間資金調達ツールであるInvestEUを改正し、500億ユーロの追加資金を動員。

- 循環経済と貿易
重要な金属や鉱物の共同購入センターを設立し、循環経済法を2026年に採択予定。原材料コストの削減とリサイクルを促進し、炭素国境調整メカニズム(CBAM)を簡素化。

課題と調整

しかし、EUは環境目標と経済成長のバランスを取る上で課題にも直面している。2025年2月28日の報道によれば、欧州委員会は企業の持続可能性開示規則を緩和し、環境および社会的リスクに関する報告義務の対象企業数を削減する提案を行った。これは中小企業の負担を軽減し、経済成長を促進する意図があるが、長期的な気候目標へのコミットメントを弱める可能性も指摘されている。

関連情報

- 欧州グリーンディールとは?
- 2019年に発表され、EU全体で気候変動対策を強化。

- EUのクリーン産業協定(2025年2月)
- 1000億ユーロ規模の投資を含む政策。

- 持続可能性報告の規制緩和(2025年2月)
- 環境リスク報告の義務緩和案。

2020年代におけるEUのグリーン調達の進展は、政策の深化と新たな経済的支援策の導入によって特徴づけられます。
一方で、環境目標と経済成長のバランスを取るための調整も求められており、今後の政策展開が注目されます。

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