### 「四ツ木斎場 血煙夜話 - 熊川邦男、最後の盃」
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**藤井:** 「親っさん、やっぱ気になりますぜ。ハマ(稲川会)の連中、今日はやけに大人しい。妙に静かだと、かえってガサ(警戒心)っちまうんですがね……。」
**熊川:** 「バカ言え。こんな義理事(葬儀)でドタバタやるほど、アイツらも落ちぶれちゃいねぇ。筋ってもんを考えりゃ、ここでチョンボ(掟破り)はねぇよ。」
**藤井:** 「けどよ、向こうさんがウチのシマ(縄張り)を狙ってるのは間違いねぇ。親っさんがカタチ(葬儀)になった後、向後睦会がどうなるか……。」
**熊川:** 「お前らが守るんだよ。ウチは昔っから筋を通す組織だ。それだけは……忘れんな。」
(熊川、線香をくゆらせながら遠くを見つめる。)
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(弔問客が次々と焼香する中、スーツ姿の二人組が静かに斎場へ入る。)
**藤井:** 「親っさん、あの二人……妙に場慣れしてやがる。顔は知らねぇが、挨拶の仕方がどうもシマ(縄張り)の空気を知ってるヤツらのそれでさ……。」
**熊川:** 「……知らんな。どこの若ぇ衆(下っ端)だ?」
(その瞬間、男たちが懐に手を入れる。)
**藤井:** 「――やべぇ!!」
(「ドン!ドン!」銃声が響く。)
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(熊川、胸を押さえて膝をつく。)
**藤井:** 「親っさん!!ちくしょう、やりやがったな!!」
**熊川:** 「チッ……筋も……クソもねぇ連中だな……。」
(藤井が倒れた熊川を抱え込む。)
**藤井:** 「しっかりしてください、親っさん!救急車呼びますから!」
**熊川:** 「バカ言え……そんなモン呼んでも……カタチになるのが少し遅れるだけだ……。」
**藤井:** 「そんなこと言わねぇでくださいよ!親っさんがいなくなったら、俺らどうすりゃ……!」
**熊川:** 「……シノギを守れ……ウチのシマを荒らすな……後は……お前に……任せる……。」
(熊川、最後に苦笑しながら)
**熊川:** 「それにしても……まさか、ここでやるとはな……ハマの連中も、堕ちたもんだ……。」
(熊川、息絶える。)
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**藤井:** 「……クソッ……このケジメ、絶対につけさせてもらうぜ……!」
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