Wednesday, May 7, 2025

環境の値札を求めて――税制の迷宮とその出口(1993年)

環境の値札を求めて――税制の迷宮とその出口(1993年)

私は、環境税の導入を考える際、まず既存の税制に潜む限界と向き合わねばならないと思っている。たしかに、省エネ設備への特別償却や税額控除など、環境配慮を促す制度は存在する。だが、それらは煩雑な申請手続きや対象設備の限定といった障壁を伴い、中小企業にとっては利用しづらい仕組みになっている。また、その恩恵もさほど大きくなく、企業の投資判断を左右する力には欠けているのが現実だ。

一方、石油税やゴミ袋の有料化といった制度も一見環境税に見えるが、実際はエネルギー政策や自治体の財政措置として導入されたものであり、環境保全を主眼としたものではない。結果として環境に寄与する面があっても、それは副次的な効果にすぎない。

こうして私は、既存の制度では環境行動を体系的に導くには不十分であると確信するようになった。環境に負荷をかける行為に明確な価格を与える「環境税」こそが、新たな社会の羅針盤となるのではないかと、私は信じている。

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